タイヤひび割れ原因と補修・交換時期|側面のひび割れは大丈夫?車検は?

車のタイヤはゴムでできていますから、
道路を走行していればドンドン摩耗して削られていきます。

スリップサインと呼ばれる目印が目で見てわかるくらい
タイヤがすり減ってしまったときには、
すぐにでもタイヤ交換をしたほうが良いです。

タイヤのゴムが劣化する原因は摩耗以外にも経年劣化があり、
車を動かしていなくても、時間が経つにつれて
徐々にゴムがだめになっていきます。

ゴムの柔軟性が失われてどんどん硬くなっていくだけじゃなく、
ゴム繊維が劣化してひび割れたように千切れはじめることがあります。

細かいひび割れが走っている程度であれば、
一応は車を走らせることができるものの、
タイヤのひび割れで怖いのは、バーストの危険が高くなっていること。

タイヤがバースト(破裂)してしまった場合、
車は直ちに動かなくなるだけじゃなく、
ハンドル操作も難しくなります。

高速道路を走行している最中にバーストでもしたら、
それこそ命に関わる交通事故を起こしかねないし、
ホイールが地面に直接触れてしまうことで、
ホイールが歪んでしまい、修理代が高くつくこともあります。

特に新車で購入してからもしくはタイヤ交換してから3年以上経過していて、
タイヤにひび割れを発見したときには、速やかにタイヤ交換しましょう。

ひび割れたタイヤで運転しても平気?

タイヤがひび割れた状態でも
車を走行させても大丈夫なのかというと、
よほどのことがなければ問題なく運転できるはずです。

タイヤのひび割れと言っても、業界では
タイヤと地面が設置する部分(トレッド溝底部)と、
タイヤの側面では呼び方が異なっていて、
トレッド溝底部のひび割れはグループクラック(溝割れ)と呼びます。

タイヤの側面のひび割れは「チェッキング」と呼ばれ、
無数の細かいひび割れが見られるのが特徴で、
たいていのタイヤのひび割れはチェッキングの方です。

新品のタイヤの厚さ・厚みは何ミリ?

トレッド部分のタイヤの厚さは新品で15ミリ(1.5cm)あります。

タイヤ側面のタイヤの厚さは場所によって異なりますが、
薄いところだと5ミリほど厚さです。

タイヤの表面に1ミリにも満たないような
細かいひび割れが見られる程度なら、
運転に支障を与えるようなことはないでしょう。

「え、そんな車のタイヤってそんなに薄いの!?」

と思ったかもしれませんが、タイヤは自転車のタイヤとは違い、
ゴムと空気だけで車の重量を支えているわけではありません。

タイヤの内側には繊維のような極細のワイヤーコードが組ま込まれていて、
ワイヤーコードがタイヤの支える重要なパーツになっています。

コードが見えなければひび割れたタイヤでも走行可能

タイヤのひび割れで最も避けなければいけないのは、
ひび割れがタイヤを突き破って、
ワイヤーコードが露出してしまうような状態です。

万が一、ワイヤーコードが少しでも損傷を受けてしまうと、
タイヤ内の空気圧のバランスが狂い始め、
タイヤがバースト(破裂)する危険が一気に高くなります。

「ひび割れはまだ1ミリくらいだから大丈夫♪」

なんて油断をしないで、タイヤのひび割れが目立つようになったら、
重大事故につながってしまう前に、やはり早目に交換することをおすすめします。

関連ページ:車間距離目安|高速道路・雪道・停止時は?空けすぎ車間距離は?

長い釘を踏めばタイヤは必ずパンクする?

タイヤに穴が空いてしまえば、
空気が漏れてタイヤがパンクしてしまいます。

タイヤがパンクする原因の一つが、
ガラスや釘などを踏みつけてしまうことなので、
こういった障害物を発見した場合は、
できるだけ避けて通行したほうが良いです。

タイヤの接地面(トレッド溝底部)は1.5cmほどしかないので、
2cm以上の釘が刺さると、空気が漏れてパンクすることがあります。

ただ、長い釘がタイヤに刺さったとしても、
実際にはタイヤに対して直角に刺さることは珍しく、
斜めに刺さるケースが圧倒的に多くなります。

なので長い釘を踏みつけてしまったとしても、
タイヤはそう簡単にパンクすることはないと考えられます。

ひび割れたタイヤの補修方法

ひび割れたタイヤはどうすれば補修・修理できるのかというと、
ひび割れを完全なくして元通りの状態に戻すことはできません。

ゴムの変性というのは化学的には不可逆的な反応なので、
経年劣化や摩擦・衝撃などによってゴムの性質が変わると、
二度と元の性質を取り戻すことはできないんです。

タイヤつや出し剤を塗れば、ひび割れが誤魔化せるんじゃないか?
と思うかもしれませんが、薬品の作用でタイヤの劣化を進めることがあるので、
あまりおすすめはできません。

タイヤがひび割れたときには、あまり遅くならないうちに、
タイヤを新品に交換することを考えたほうが良いです。

タイヤがひび割れる原因

タイヤがひび割れるのはタイヤの素材として使われている
ゴムが劣化した症状の一つですが、
ではゴムはどんな原因で劣化するのかというと、

  • 経年劣化(オゾン・紫外線)
  • 過度な洗車やタイヤのつや出し剤
  • 過負荷(過積載)
  • 空気圧不足
  • 障害物など外的ダメージ

といったものが挙げられます。

経年劣化(オゾン・紫外線)

タイヤに光が当たることで劣化します。

光の中でも紫外線はエネルギーの高い光なので、
ゴム繊維の中の分子同士のつながりを徐々に切ってしまい、
タイヤのひび割れにつながります。

車を保管する場所が車庫などの暗い場所ではなくて、
屋外駐車場(青空駐車場)だと経年劣化による
ひび割れが起こりやすくなります。

同じく空気中に含まれるオゾンなどの物質とゴムが反応することで、
タイヤの劣化が進んでひび割れが見られることがあります。

過度な洗車やタイヤのつや出し剤

車のボディについた汚れは見た目を悪くするだけではなくて、
ボディ塗装を傷める危険もあります。

樹脂や鉄粉などが付着してしまった場合、長く放置をすると、
そこからどんどん腐食が進んでしまい、まだらにボディが錆びてしまい、
ボディの塗装修理にかなりの費用が掛かってしまいます。

車はこまめに洗車したほうが良いものの、
タイヤも洗い過ぎるとタイヤを傷めるリスクもあります。

またタイヤもピカピカにするために
オートバックスやイエローハットなどで
タイヤ専用のつや出し剤が売られていることがありますが、
タイヤの劣化を早める危険があります。

薬品に含まれる油性成分がタイヤのゴムと反応して、
化学変化をおこしてしまい、ひび割れを起こすことがあります。

車のタイヤにはもともと紫外線対策用の
劣化(紫外線)防止剤が使われているんですが、
油性成分が防止剤と反応して劣化を速めてしまいます。

過負荷(過積載)・空気圧不足

タイヤというのは正常な空気圧で適切な形状を保つことで、
最も品質を保つことができます。

過負荷(過積載)してしまうと、トレッドセパレーションと言って、
トレッド部が引きつったような変形を起こしてしまいます。

走行中は側面部にも摩擦や圧が掛かるようになり、
タイヤのひび割れだけじゃなくて摩耗も激しくなってしまいます。

関連ページ:タイヤの空気圧は高め?低め?スタッドレスタイヤの空気は?

障害物など外的ダメージ

縁石に乗り上げたり、無理な段差を乗り越えようとして、
タイヤの一部に強い負荷をかけてしまうと、
その部分のゴムに集中的にダメージを与えてしまい、
タイヤがひび割れる原因を作ってしまいます。

最近の車は、舗装されていない道路を走ることは
あまり想定されていないことが多いので、
できるだけ舗装されている道路を選んで走るようにしなければいけません。

ひび割れしたタイヤで車検に通る?

車検ではウィンカー(方向指示灯)の動作確認、
ブレーキの制動力やブレーキパッドの厚みなど、
様々な項目が点検されますが、タイヤも重要な点検項目の一つです。

車検に通るためにはタイヤは接地面にある溝の深さが、
1.7mm以上であることが求められます(1.6mm以下では車検に通らない)

仮にタイヤの溝の深さが1.6mm以下になっている場合には、
スリップサインも目で見て確認できるようになっているはずなので、
できるだけ早めにタイヤ交換をしたほうが良いです。

ではタイヤのひび割れはチェックされるのかというと、
車検の検査項目には入っていません。

ひび割れ程度なら車の安全な走行に
問題ないだろうという判断だと思われますが、
ひび割れではなく亀裂という風に判断されてしまうと、
車検が認められないことがあります。

万が一、タイヤの内部のワイヤーまで見えるほどひび割れていた場合には、
間違いなく車検に通らないですし、今すぐにでもタイヤ交換したほうが良いです。

関連ページ:イエローハット車検費用|etc持ち込みセットアップ料金や廃車費用

スペアタイヤでも車検に通るの?

スペアタイヤというと、通常のタイヤに比べて
細くて一回り小さくてホイール黄色い(もしくは一本ラインが入っている)
タイヤを思い浮かべると思いますが、正式にはテンパータイヤと呼びます。

スペアタイヤとは、正式にはハイラックスサーフや
ジープなどの車の後ろに備え付けられている、
通常のタイヤと同じサイズのタイヤのことを指します。

テンパータイヤは、予備用・緊急用のタイヤなので、
連続走行距離は、おおよそ100kmまで、
最高速度(時速)は、おおよそ80km/h
といった感じで制限されています。

他のタイヤと同じサイズ・規格のスペアタイヤであれば、
テンパータイヤだと車検に通ることはできません。

ちなみに、テンパータイヤでもスペアタイヤでもどちらも、
以前は搭載義務がありましたが、法律が改正されたため、
現在では搭載義務はなくなり、スペアタイヤ(テンパータイヤ)なしでも、
車検に通るようになりました。

関連ページ:車検はいつからいつまで出せる?車検はいつから毎年?

タイヤのひび割れを防ぐ方法

タイヤは車を走らせるよりも車を走らせないようが
実は劣化・ひび割れが進みやすくなります。

タイヤには「劣化防止剤」という薬品が混ぜ合わされていて、
走行している最中に徐々に薬品がシミだし、熱・紫外線・酸素など影響で、
タイヤが酸化したり劣化するのを予防する仕組みになっているからです。

車を走らせなければ当然、劣化防止剤がタイヤの表面にシミ出てこないので
紫外線やオゾンなど空気中の様々な物質の影響を受け続け、
酸化や劣化が起こりやすくなります。

タイヤを適度に走らせると同時に、車にしばらく乗らないときには、
直射日光の当たらないところに保管するようにしましょう。

屋外に駐車しなければいけないときには、
車だけじゃなくタイヤにもカバーをして、
酸性雨や紫外線などが直接当たらないようにするのが良いです。

またタイヤの空気圧にもできるだけ気を配るようにして、
適切な空気圧を保つようにすることで、
タイヤの劣化・ひび割れをできるだけ抑えることができます。

バーストする前に!タイヤ交換時期の目安

タイヤは消耗品なので、いずれは交換しなければいけません。

では、いつ頃が交換の目安になるのかのかというと、
いくつかの判断基準があります。

スリップサイン出現・約3年以内・5万キロ以内が目安

タイヤ交換はいつごろが良いのかというと、

  • スリップサイン出現
  • 約3年以内
  • 5万キロ以内

の3つの条件のうち、最も早い条件を満たした時です。

スリップサインが出現するほど車を走行させていなくても、
タイヤ交換してから、もしくは新車を購入してから3年経過すれば、
タイヤ交換をしたほうが良い時期といえます。

また、5万キロも走行をすると、タイヤにかなりの負荷が蓄積され、
目に見えない部分でも劣化が進んでいる可能性があるので、
スリップサインが出現していないても、3年経過していなくても、
タイヤ交換をしたほうが良いです。

スタッドレスタイヤの場合、冗談抜きで
タイヤの状態がそのまま命の安全に直結しかねません。

関連ページ:スタッドレスでもアイスバーンは滑る|ABSもブラックアイスバーンに無力?
滑りやすくなったなと感じることが1度でもあったら、
早目にタイヤ交換することをおすすめします。

関連ページ:タイヤ交換の目安@工賃の相場は持込でも高いから自分でやってみよう。

タイヤの位置を交換してタイヤの劣化を均一にしよう

一般的な乗用車であればタイヤというのは4つありますが、
前輪・後輪でタイヤにかかる負荷は違いますし、
タイヤの左右でも負荷が変わります。
(左折が多かったり、右折が多かったり)

タイヤの劣化や摩耗は4つのタイヤで均一に進むわけではなく、
バラバラに進んでいくので、一つのタイヤを集中的に傷めないために、
できれば定期的にタイヤの位置を交換(ローテーション)させると良いですよ。

バーストするとホイールも歪み修理代が激増

タイヤ交換をサボってしまい、
万が一、タイヤがバーストしてしまった場合。

バーストが起きるのは車を停めている最中ではなく、
ほとんどが車を運転している最中です。

高速道路を運転していた場合には、
車を安全に停止させられるかどうかきわめて不安がありますが、
いずれにしても、車のホイール部分が地面に直接触れることになります。

タイヤがバーストしてパンクしただけであれば、
タイヤ交換をするだけで今まで通り車を運転できるものの、
ホイールが歪んでしまった場合には、
修理に出さなければいけません。

自損事故でも車両保険に加入をしていれば、
修理代を補てんできたりするものの、自動車保険を使うと、
翌年(翌期)の等級が下がってしまい保険料が高くなります。

余計な費用負担を背負うことになってしまうので、
タイヤ交換には手を抜かないように気を付けましょう。