バッテリーの中はバッテリー液で満たされているわけですが、
通常であれば、バッテリー内部はほぼ密閉されているため、
バッテリー液が外部に漏れるようなことはありません。
バッテリー液を補充した直度であれば、
バッテリーのキャップの締め付けが緩くて、
バッテリー液が漏れることがありますが、
バッテリーの経年劣化でバッテリー液が漏れることもあります。
バッテリー液は酸性の強い希硫酸が使われているので、
肌や洋服に付着するとドンドン溶けだしてしまい、
一刻も早く洗い流す必要があります。
車に使われている金属・ゴム部品だって腐食・酸化させてしまうので、
バッテリー液の液漏れが発覚した場合、
一刻も早く適切な処置をしなければいけません。
目次
バッテリーの仕組み(電極と希硫酸による電気分解)
バッテリーとはどんな仕組みになっているのかというと、
ごく簡単に言うと
- プラス極版
- マイナス極版
- 電解液
の3つで構成されています。
プラス極版とマイナス極版には主に鉛が使われていますが、
プラス極版には茶色の二酸化鉛、マイナス極版にはグレーの海綿状鉛
がそれぞれ使われています。
種類の違う鉛を使うことで電位差(電圧)が生じる前提条件となり、
2つの極板の間を電解液(希硫酸)で満たすことで
電子がスムーズに移動できるようになると、
電気を発生できる仕組みになっています。
車はバッテリーとオルターネーターで電力供給
追記
エンジンの動力をオルタネーターに伝えることで発電し、
車の様々な電装品に電力を供給できるようになっています。
エンジンを動かしている間は、主にオルタネーターによって電力が供給され、
オルタネーターがバッテリーを充電させています。
バッテリー液が減る原因としては非常に考えにくいものの、
その他の故障が原因でオルタネーターが故障しているケースもあり得ます。
オルタネーターの故障は修理に関しては、別の記事にまとめています。
関連ページ:オルタネーター交換費用|オートバックスのオルタネーター交換工賃は安い?
バッテリー液の液漏れ・減る原因
バッテリー液が減る(液漏れする)が起きる原因としては、
どんなものがあるのかというと、
- キャップのゆるみによる液漏れ
- バッテリー液の入れ過ぎ
- バッテリーの経年劣化
- 過充電によるバッテリー液の気化
といったものが考えられます。
キャップのゆるみによる液漏れ
バッテリー液は車に乗っているうちに
量が減ることがあることがあるので、
後から補充できるようになっています。
バッテリー上にあるキャップを開ければ、
バッテリー液をそのまま補充できるんですが、
キャップが緩んでしまうことがあります。
バッテリー自体に強い振動を加え続けたり、
バッテリー液を補充した後、十分に絞めなかったせいで、
バッテリー液がキャップから漏れることがあります。
バッテリー液の入れ過ぎ
バッテリーにバッテリー液を補充する際、
上限値を超えてバッテリー液を入れてしまうと、
バッテリー液が漏れやすくなります。
バッテリー液をどのくらい補充すれば良いのかは、
バッテリーに「UPPEER」レベルという目安が刻まれているので、
「UPPEER」レベルを目印に補充しなければいけません。
バッテリーの経年劣化
バッテリー自体は金属やゴム、プラスチックなど、
様々な部品で構成されているわけですが、
こうした部品は使えば使うほど劣化していくものです。
バッテリー自体が経年劣化することで、
バッテリー液が漏れだすこともあります。
過充電によるバッテリー液の気化
何らかの原因でバッテリーが過充電という過剰に充電される状態になると、
バッテリー液が漏れる可能性があります。
バッテリー液は希硫酸ですが、
水で薄められた硫酸なので大半は水です。
過充電が起きると水が酸素と水素とに分解されて気化すると、
バッテリー内部の圧力がドンドン上昇し始めます。
その結果、キャップを十分に絞めていたとしても、
バッテリー液がわずかな隙間から漏れ始めることがあります。
過充電が起きている場合には、
バッテリー液の残量も減っているのがわかります。
過充電が起きる原因として考えられるのは、
オルターネーターの故障が挙げられます。
オルターネーターに何らかの異常が生じて、
リミッターのようなものが効かなくなってしまうと、
バッテリーの許容範囲を超えて電気を送ってしまい、
バッテリーの過充電が起きることがあります。
バッテリー液不足・バッテリー劣化の放置は危険!
バッテリー液が漏れてバッテリー内のバッテリー液が不足していたり、
バッテリー劣化している状態が長引くのはかなり危険です。
バッテリー液は希硫酸ですから、
触れたものをどんどん腐食させてしまいます。
金属部品だろうがゴム部品だろうがドンドン劣化させて、
故障箇所をさらに増やすことになります。
また、バッテリー液不足によってバッテリーに蓄えられる電力も低下し、
エアコンやヘッドライトなどさまざまな電気部品にも悪影響を与えます。
関連ページ:車のエアコンが効かない原因@冷房・暖房問わず修理代は?
近年の車は目に見えない部分にも
各種センサーなどの電気制御部品が使用されているので、
最悪の場合、車が動かなくなってしまう事態も十分に考えられます。
車の寿命を早めるし、
車を売却するにしても査定額が大幅に減額されてしまうので、
バッテリー液の液漏れは早目に対処しなければいけません。
バッテリーのサルフェーション現象とは?
バッテリーの液漏れやバッテリー液不足が起きると、
サルフェーション現象が起きることがあります。
バッテリーの放充電を繰り返していくうちに、希硫酸の電解液の中には、
電極の鉛と硫酸が結合した硫酸鉛の微粒子が増えて行きます。
硫酸鉛の微粒子が結晶化すると不環性の硫酸鉛となり、
電極版に徐々に蓄積・付着していきます。
不環性の硫酸鉛はいわば錆のようなもので、
電気をほとんど通さない絶縁体のような働きをしてしまいます。
電極版が硫酸鉛で覆われれば覆われるほど、
十分な電力を充電したり放電することができなくなり、
最終的には通常の充電をしても回復しない使用不能となります。
バッテリーの日常点検
バッテリー液の液漏れやバッテリー液不足による不具合を予防するには、
やはり日頃の点検が欠かせません。
具体的には、
- バッテリー液が規定量入っているか
- キャップ部分にゆるみがないか
- エンジン始動やヘッドライトの明るさは正常か
- バッテリー劣化が疑われる予兆
といった点を気を付けてみるようにしましょう。
バッテリー液が規定量入っているか
バッテリー液の液漏れ・バッテリー液不足を確かめる
基本中の基本はバッテリーに刻まれている目盛を目視して、
規定量入っているかどうかをチェックしましょう。
バッテリー液は上限値のUPPERレベル(満タン)まで入っていると、
長持ちして劣化しにくいと言われています。
バッテリーには通常、6つのキャップがあり、
それぞれバッテリー内で違う部屋にバッテリー液が格納されています。
6か所全てでUPPEERとLOWERの間に
バッテリー液の残量があることを確かめましょう。
キャップ部分にゆるみがないか
特にバッテリー液を補充した直後やバッテリー交換をした場合は、
バッテリーのキャップが緩んでいないかどうかをよく確かめましょう。
エンジン始動やヘッドライトの明るさは正常か
エンジンのキー(セルモーター)を回して、
エンジンが始動するまでの時間が以前よりも長くなっていませんか?
エンジンを切った状態でヘッドライトを付けたときに
十分な明るさがありますか?
他にもエアコンの効きや、
オーディオの音量は十分に大きくなりますか?
こうした点に何か異常や不安を感じたら、
バッテリー液不足やバッテリーの劣化が起きていないかを
早目に確かめたほうが良いです。
バッテリー劣化が疑われる予兆
バッテリー液は十分にあるけれど、
バッテリーそのものが劣化しているせいで、
電装品に不具合が起きることがあります。
バッテリー劣化が疑われる要因としては、
- バッテリー液の減り方が6つのキャップごとにバラバラ
- バッテリー液を補充しても半年もしないうちに減る
- バッテリー液の残量が下限(LOWER)を下回る状態が長くなってしまった
- バッテリーの端子(ターミナル)周辺に白い粉のようなものが付着
といったものがあります。
バッテリー液の補充方法
バッテリー液が不足していることがわかったら、
とりあえずはバッテリー液を補充することで、
バッテリーを復活させることができます。
※バッテリー自体が劣化していた場合、
バッテリー液をいくら補充しても
バッテリーが復活しないことがあります。
バッテリー液はオートバックスやイエローハットなど、
カー用品店やガソリンスタンドでも安く売られているし、
普通の精製水でもOKです。
水道水も使えないことはないものの、
バッテリーには不要な成分(塩素など)が含まれていて、
バッテリーの劣化を早める可能性があるので、
よほどの緊急事態を除いて、使用は避けたほうが良いです。
バッテリー液を補充する際には、
- キャップを開ける
- バッテリー液を補充する
- しばらく放置してからキャップを閉めて充電
といった手順になります。
作業自体は特に難しいことはないものの、
細かいところで注意しなければいけないことがあります。
1.キャップを開ける
バッテリー液を補充できる穴をふさいでいるキャップ(蓋)は、
マイナス(-)のねじ頭のような形状となっています。
大き目のマイナスドライバーや、
十円玉を使って開けることができます。
十円玉で開かない場合には、ペンチで十円玉を挟むと、
より強い力でキャップを回すことができます。
2.バッテリー液を補充する
バッテリー液をどれくらい補充すれば良いのかというと、
バッテリーに刻まれているUPPEERとLOWERの2つが目安です。
できるだけUPPEERギリギリまで
バッテリー液を注ぐようにしましょう。
入れ過ぎるとバッテリー液が液漏れすることがあるので、
UPPEERレベルよりもわずかに下くらいを目安にしましょう。
3.しばらく放置してからキャップを閉めて充電
バッテリー液(精製水)を補充すると、
希硫酸と化学反応を起こしながら混ざり合っていきます。
この時、ガスが発生せいてバッテリー液の残量が
わずかに減ることがあるので、バッテリー液をさらに補充しましょう。
バッテリー液が減るようなことがなくなったら、
キャップを元通りにきつく閉めてエンジンを始動し、
バッテリーを充電させていきましょう。
バッテリー液の補充・交換時の注意点
バッテリー液を補充する作業は決して難しいものではないし、
工具も特に必要としません。
自分でタイヤ交換できるくらいの技術や経験があれば、
素人にも簡単にバッテリー液の補充ができるものの、
気を付けなければいけないことがあります。
- 金属アクセサリーなどを外す
- バッテリー液を肌・洋服に付着させない
金属アクセサリーなどを外す
バッテリーのプラス端子とマイナス端子や、
端子に直接触れている車の金属部分に
金属製のネックレスや指輪などが触れてしまうと、
感電・漏電させる危険があります。
バッテリーに蓄えられている程度の電圧なら、
命に危険が及ぶレベルではないものの、
ケガをしてしまいます。
また、電流がおかしな方向に流れることで、
車内の電装品にダメージを与えてしまったり、
ヒューズ切れを起こすこともあるので、
金属アクセサリーなどを外してバッテリー液を補充しましょう。
バッテリー液を肌・洋服に付着させない
バッテリー液は希硫酸という酸性の強い液体です。
バッテリー液が不足している場合、
希硫酸の濃度も上がっていると考えられるので、
通常よりもさらに酸性が強く危険度が高くなっています。
肌・洋服に付着させない慎重に作業を行いましょう。
間違っても目に飛び散るのは避けなければいけないし、
キャップを開けた際に、キャップの裏についた希硫酸が、
指に付着しないようにくれぐれも気を付けましょう。
バッテリー液が肌・洋服に付着した場合の処置
バッテリー液(希硫酸)が洋服に付着すると穴ができ、
そのまま反応が継続して穴が広がっていきます。
大量の水でとにかくバッテリー液を
十分に洗い流すようにしましょう。
追記
バッテリーの寿命や交換の目安
バッテリーの寿命はどのくらいで、
交換時期の目安はどのくらいなのかというと、
使用しているバッテリーや車の乗り方によって変わります。
追記