車が浸水したといっても、
タイヤが半分くらいまでの水深であれば、
注意して運転することで、一応は走行することができます。
けれども水位がドンドン高くなってきて、
マフラーが水の中に入ってしまったり、
バンパーまで水で隠れてしまうレベルだと、
車を動かしたりエンジンをかけるのは危険なレベルです。
床上浸水しているようならば、速やかにエンジンを切って、
車から離れたほうが良いです。
浸水の程度にもよりますが、
水没車は事故者と同じような扱いとなり、
様々な個所に修理が必要になります。
修理代はほぼ保険が適用できるものの、
売却するとなると水没車は敬遠されることが多いので、
その点も考慮して修理するか?売却するか?を
考えなければいけません。
追記
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201810/0011695347.shtml
目次
車の浸水はどこまでOK?
保険では一般的にダッシュボードまで水位が高くなると、
水没車という扱いとなり、全損とみなされることが多いです。
では、どこまでの浸水レベルであれば、
車は(ほぼ)安全に乗り続けられるのかというと、
- マフラー(排気口)まで
- バンパーの下まで
というのが一つの目安になります。
車が浸水したとはいってもマフラー(排気口)もバンパーも
水につかっていなければ、車は正常に動く可能性が高いです。
ただ、車内のどこかに水がたまっていて、
床が水浸しになっているかもしれません。
関連ページ:車の床水浸し|浸水したら保険で修理?床水浸しの対処法は?
車に余計な水がたまっていると金属部品を錆びさせたり、
ゴム部品の劣化を速めてしまうので、早目に水を取り除かなければいけません。
また、車内の湿度が高い状態が続いてしまうので、
車内に湿気がたまり、やはり部品故障やカビの繁殖などを招くことがあります。
関連ページ:車内湿気取り|車内の湿気取り対策や湿気臭い原因はエアコン臭?
湿気を取り除いたとしてもカビの繁殖に勢いがついてしまったら、
キチンとしたカビ対策をする必要があります。
関連ページ:車カビ臭い原因|カビ臭いエアコンを消臭・カビ除去掃除するなら?
車が浸水してしまった場合、メンテナンスすべき個所が多岐にわたるので、
手放すことも考えたほうが良いかもしれません。
マフラー(排気口)まで
車の後ろから排気ガスを出しているマフラーが、
水の中にすっぽり隠れてしまうようだと、
車を動かすのは危険なレベルだと思ったほうが良いです。
エンジンは、
- 吸気
- 圧縮
- 燃焼
- 排気
という4つのサイクルをスムーズに連動させることで、
エネルギーを生み出しているわけですが、
「吸気」と「排気」はいわゆる空気の出入りです。
マフラーが浸水してしまうということは、
当然、「排気」が上手くいっていない状態だし、
マフラーから水が逆流してエンジン内にまで
水が入り込んでしまうことがあります。
エアクリーナーボックスという
燃焼に必要な空気を圧縮する部品まで浸水してしまうと、
ほぼ間違いなくエンジンが止まります。
ウォーターハンマー現象と呼ばれる状態になって、
エンジン内にあるコンロッドが曲がってしまうなど、
エンジンそのものがだめになってしまいます。
バンパーの下まで
車にはエアコンや室内灯以外にも、
様々な電気部品が使われています。
スマホやパソコンを濡らしてしまうと、
故障してしまうように、車に使われている電気部品も、
浸水することによって故障する危険が高くなります。
電気部品の中には水に触れることを想定して
防水対策が施されているものもありますが、
全ての電気部品が防水されているわけではありません。
バンパーよりも上まで水位が上がって浸水し始めると、
水に弱い電気部品が故障するだけではなく、
車内の電気回路そのものがショートしてしまい、
電気が正常に流れなくなることもあり得ます。
車内にまで床上浸水したら?
- マフラー(排気口)まで
- バンパーの下まで
というレベルではなくて、
フロアマットが水浸しになり始めたり、
床上浸水して車内に水がたまり始めた場合には、
エンジンを止めてエンジン故障を避ける
水没した車には感電を避けるため近づかない
避難時にはマンホールの穴などに注意!
といった点に気を付けるようにしましょう。
エンジンを止めてエンジン故障を避ける
床上浸水でエンジンが動いていると、
エンジン故障を起こしてしまう危険が非常に高いです。
すでにエンジンを動かした場合には速やかにエンジンを切り、
エンジンを切っていた場合には、
絶対にエンジンスタートさせてはいけません。
床上浸水するだけでも、修理費用は数十万円単位になり、
エンジンまで故障すると100万円を超えることが予想されます。
売却するにしても、エンジンが動いているかどうかは、
査定額に大きく影響します。
水没した車には感電を避けるため近づかない
床上浸水した車からは、
一刻も早く逃げるようにしましょう。
電気回路がショートしていて、
電気の流れがおかしくなっているからです。
回路内で電気の流れが完結せず、
四方八方に電気が流れていて感電する危険があります。
参考サイト:自動車:浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ – 国土交通省
水に浸った車両は、外観上問題がなさそうな状態でも、感電事故や、電気系統のショート等による車両火災が発生するおそれがありますので、以下のように対処して下さい。
避難時にはマンホールの穴などに注意!
床上浸水した車から逃げるにあたっては、
足元の状態にも十分に気を付けなければいけません。
足元が見えるレベルの水位だったり、水の透明度があれば良いですが、
濁流だったり水位が高いと、足元がまるで見えなくなります。
地面に何が転がっているのか分からないし、
道路であれば水圧でマンホールのふたが外れていることもあります。
知らないうちに下水道に落ちてしまうこともあるので、
足元を慎重に確かめつつ、できるだけ急いで逃げるようにしましょう。
冠水時・水害時・洪水時の運転注意点
冠水時や水害時、洪水時に
どうしても運転しなければいけない場合、
- 時速30キロ以下で走る
- アンダーパス・道路の高低差に注意
という点に気を付けるようにしましょう。
時速30キロ以下で走る
タイヤの半分が隠れる程度(水位15cm~20cmほど)であれば、
とりあえずは車を動かすことはできます。
けれども、スピードをあまり出してしまうと、
水を大量に巻き上げてしまい、マフラーの中に水が入ったり、
電気部品を故障させる危険性が高くなります。
時速30キロ以下を目安に、
ゆっくりと走るようにしましょう。
アンダーパス・道路の高低差に注意
線路のアンダーパスなど高低差のある道路では、
最も水深が深いところの水位がわかりにくいものがあります。
うかつに侵入すると、想像以上に水深が深くて、
車を水没させる可能性も高いので、
少なくとも、アンダーパスの走行は避けたほうが良いです。
どうしてもその道路を通らなきゃいけないのであれば、
事前に水深を確認したうえで、通れるかどうかを判断しましょう。
ただ決して、勢いよく突っ込めば突破できるだろう!
みたいには無謀な考えを起こさないに注意が必要です。
水没車に閉じ込められた時の脱出方法
JAFが行った実証実験によると、車のドアの下の方が、
少し水に隠れるだけでも、ドアを開けるのが困難になることがわかります。
水深60cmともなると、スライドドアですら開かなくなるほど強い水圧がかかり、
水深80cmにまで達してしまうと、車が水に浮き始め、
もはや脱出困難な状態にあります。
窓が開けばよいですが、最近の車の窓は電気で動くパワーウィンドウなので、
電気部品がやられてしまうと、窓すら開かなくなってしまいます。
水没して閉じ込められた車から脱出するためには、
いずれにしても窓ガラスを割らなければいけません。
窓ガラスを割るための専用のハンマーを常備しているのが理想ですが、
そんなものが見当たらない場合には、ヘッドレスで代用できます。
運転席や助手席のヘッドレスを外すと、
硬い金具(棒)がついていますから、
この棒を窓に突き刺して、脱出を試みてください。
浸水車・水没車は保険修理できる?
自賠責保険は、交通事故被害者の救済を
第一の目的とした保険ですので、
水没した車の修理は補償されていません。
豪雨や洪水などによる自然災害で浸水・水没した場合、
車の修理には自賠責保険を適用することはできません。
自賠責保険は交通事故被害者の救済を目的とした保険なので、
基本的に車そのものの修理は補てんできません。
それに対して、任意保険(自動車保険)の車両保険であれば、
修理費用を補うことができます。
車両保険のタイプが
- エコノミー車両保険A
- 一般車両保険
のどちらかであれば、保険適用可能です。
※「A(エース)」のついていない
単なる「エコノミー車両保険」だと、
浸水・水没は保険適用外。
ただ、地震が原因の場合には「地震特約」を付けていないと、
車両保険を使うことができません。
同じく、自然災害ではなくて
人為的な過失で水没・浸水させた場合に関しても、
「自損事故」が保険の適用範囲になっていなければ、
車両保険を使うことができません。
車両保険に関しては、自動車保険の保険料を一気に高くするモノであり、
新車購入して2,3年のうちは、車両保険を付けたほうがよいでしょう。
車両保険の保証額は自分で設定できますが、
100万円単位で変更をしても
保険料は数百円程度しか変わらないので、
車両の本体価格+αを設定すると良いでしょう。
※プラスαはカーナビなどのオプション料金分
ただ、「車両の本体価格」というのが意外と曲者で、
決して新車購入時の価格ではありません。
保険会社が保険金を支払う際、
どのように車両の本体価格を算出するのかというと、
該当車の中古車市場での相場価格です。
車の価値というのは年を追うごとにどんどん安くなりますから、
仮に200万円の車両保険に加入していたとしても、
車の本体価格が50万円だと判断された場合、
全損しても50万円しか保険金を受け取ることができません。
また、保険を適用すると基本的に自動車保険の等級グレードは、
1つ下がることになります。
翌期の保険料が上乗せされてしまうので、
修理するか?売却するか?をよくよく考えたほうが良いです。
追記
浸水車・水没車は売却・買取できる?
中古車市場では事故車は敬遠される傾向があるんですが、
浸水車・水没車ではその傾向が顕著になります。
浸水車・水没車の場合、見た目をピカピカに修理したとしても、
浸水の影響がどこまで及んでいるのかわからないからです。
追記