エンジン警告灯は
エンジンチェックランプとも呼ばれる通り、
エンジン周りの故障・異常を知らせてくれます。
ただ実際には、エンジン警告灯が点灯下ということは、
エンジン不調などの症状を伴っている場合もあれば、
エンジン以外に異常・故障が起きている場合もあります。
エンジン警告灯が点灯する原因や、
エンジン警告灯の消し方を詳しくまとめています。
警告灯はオレンジ(黄色)?赤色?
一般的なエンジン警告灯の色はオレンジ(黄色)です。
インパネに表示されている警告灯の色を見てみると、
- オレンジ(黄色)
- 赤色
という2種類があるのがわかりますが、
これは、故障原因の申告度合いを示しています。
オレンジ(黄色)の場合には、
確かに故障・異常は生じているものの、
緊急性はそれほど高くはありません。
しばらくは車に乗っていても大丈夫なので、
そのまま最寄の修理工場やディーラーまで
運転を続けて構いません。
けれども、警告灯ランプの色が赤の場合、
たとえば、ブレーキ警告灯、油圧警告灯などが
点灯したまま消えない場合には、
すぐにでも車を停止させて救援を呼ぶ必要があります。
関連ページ:ブレーキ警告灯消えない|サイドブレーキランプつきっぱなし原因と処置
エンジン始動時に警告灯が点灯する理由
キーを回せば(EV車であれば電源スイッチをONにすれば)、
エンジン警告灯を含めて、
すべての警告灯ランプが点灯しますよね。
エンジン始動時になぜ警告灯ランプがが
一斉に点灯するのかというと、
警告灯ランプが正常に点灯するかどうかを確認するためです。
もしここで、点灯しない警告灯ランプがあった場合、
キチンと点灯させるために修理が必要になります。
放置しても、さしあたって問題が起きるわけではないものの、
故障の発見が遅れる危険が非常に高くなってしまうので、
早目に警告灯ランプの修理は必要ですね。
エンジン警告灯の消し方はECU操作で
ECUという装置をリセットすることで、
とりあえずエンジン警告灯を消すことがあります。
ボンネット(エンジンルーム)の中に
ヒューズボックスがあるので、
バックアップ(7.5A)ヒューズをさがします。
このヒューズを10秒以上外すことで、
ECUリセットとなり、
エンジン警告灯が消えます。
ただ、エンジン不調などの
問題が解決したわけではないので、
キチンと故障個所・故障原因を点検して、
何らかの修理を施すべきです。
ついたり消えたりすることもある
エンジン警告灯は、
センサーが異常を感知したときに
点灯する仕組みになっています。
異常を感知しなくなれば当然、
エンジン警告灯は消えます。
エンジン警告灯が常時点灯しっぱなしではなくて、
ついたり消えたりすることもあるんですが、
センサーが感知するぎりぎりのレベルで、
異常が起きていると考えられます。
エンジン警告灯が点灯する原因
ディーラーや修理工場へ車を持っていくと、
専用の機器(テスター)を車のシステムにつないで、
故障原因を調べてくれます。
エンジンは様々な部品で構成されているんですが、
これらの部品の中にはセンサーが設置されているものもあります。
空気量や温度などをセンサーで計測し、
正常値かどうかを常にチェックしているわけです。
これらのセンサーのうちどれかが異常値を示すことで、
エンジン警告灯が点灯する仕組みになっています。
ちなみに、ディーラーや修理工場へ車を持ち込む途中で、
エンジン警告灯が消えることもありますが、
エンジン警告灯が点灯したということは車に搭載されている
コンピューターに記録されています。
コンピューターの情報を読み取って、
しかるべき処置をしてもらえますよ。
では具体的に、エンジン回りにはどんなセンサーがあるのかというと、
- O2センサー(酸素センサー)
- エンジン制御系センサー
- エアフローセンサー(A/Fセンサー
- カム角度・クランク角度センサー
- イグニッション・センサー
- アクセル開度センサー(アクセルポジションセンサー)
- バッテリーセンサー
- 各メーター内のセンサー
といったものが挙げられます。
また、センサーが異常値を感知する以外にも、
下記のような要因でエンジン警告灯が点灯することがあります。
- センサー自体の故障
- オーバーヒート
- 排ガス浄化装置の詰まり
- 給油口のキャップ不良
では、これらの原因について
一つずつ詳しく見ていきましょう。
O2センサー(酸素センサー)
O2センサーの役割は、
排気ガスに含まれる酸素濃度を測ること。
エンジンを動かすには、エンジンに空気を送り込み、
ガソリンに点火させる必要があります。
エンジン内にどれだけの空気が送られているのかを、
排気ガス中の酸素の量によって計測しているわけです。
排気ガス中の酸素の量が多いということは、
酸素量に対してガソリンの方が少ないことがわかりますから、
エンジンにより多くのガソリンを送るようにします。
ちなみに、空気とガソリンの理想的な割合(理論空燃比)は、
14.7:1となっています。
実はエンジン警告灯が点灯する原因で一番多いのが、
O2センサーの故障です。
さしあたって、エンジン故障につながることはないものの、
燃費が悪くなってしまいます。
早目の修理・交換をしたほうが良いです。
エンジン制御系センサー
車を安全に走行させることができなくなっていたり、
エンジンが十分な性能を発揮できていないことを知らせてくれるのが
エンジン制御系センサーです。
走行中に点灯することが多く、
エンジン出力がガクンと落たり、
アイドリングが不安定になるなど、
明らかな症状を伴うことも多いです。
関連ページ:アイドリング不安定|車のアイドリング不調原因はバッテリー?プラグ?
エアフローセンサー(A/Fセンサー)
エンジンに送られる空気量を測定しているのが、
エアフローセンサーです。
O2センサーと似たようなセンサーですが、
非常に丈夫にできているので故障するのはマレです。
ただ、エアフローセンサー自体は故障していなくても、
エンジン吸気系に何らかの故障が起きていて、
エンジンに十分な空気が送られていない場合には、
エアフローセンサーは点灯します。
もしくは、エアクリーナー・エレメントに汚れがたまっていて、
エンジンに十分な空気を送ることができなくなっている場合も、
エアフローセンサーは点灯します。
エアフローセンサーとO2センサーの違い
エアフローセンサーもO2センサーもどちらも、
エンジン内の空気量を測定しているセンサーです。
車種によってエアフローセンサーとO2センサーの
どちらかが設置されていることもあれば、
トヨタのエスティマ(ACR系)のように、
エアフローセンサーがO2センサーが
両方設置されていることもあるようです。
空気量を測定するという点で違いはないものの、
エアフローセンサーもO2センサーでは精度が異なります。
O2センサーの場合は、理想の空燃比(理論空燃比)と比べて、
空気量が少ないか?多いか?しか測定できません。
エアフローセンサーの場合だと、
空燃比そのものを計測することができます。
エアフローセンサーの方がO2センサーに比べて、
より緻密に空燃比を計測して、エンジン制御できるわけです。
カム角度・クランク角度センサー
クランク(クランクシャフト)とは、
エンジン内でピストン運動を、回転エネルギーに変換する部品。
カム(カムシャフト)とは、
吸気と排気を行うタイミングで
バルブを開閉する部品です。
カムとクランクはエンジン内で超高速に動いているため、
ちょっとのズレも許されません。
カムとクランクの位置(角度)がずれると、
燃費が下がったり、エンジン寿命を速めることなるので、
カムとクランクの角度が許容範囲内かどうかを、
センサーでチェックしています。
カム角度・クランク角度のずれが大きくなった場合、
センサーが感知してエンジン警告灯が点灯します。
イグニッション・センサー
イグニッション(イグニッションコイル)とは、
エンジン内で混合気(ガソリンと空気の混ざったもの)に
点火させるための部品です。
イグニッションで火花を作り、
混合気を燃焼させることで爆発力を生み出し、
クランクシャフトをピストン運動させています。
正常であれば、混合気がエンジン内に噴出されるタイミングに合わせて、
イグニッションが点火するようになっていて、
センサーでタイミングのずれを感知しています。
もし、イグニッションの点火のタイミングがずれると、
エンジン警告灯が点灯すると同時に、
エンジンがガタガタと震えるように
振動することも多いです。
関連ページ:エンジン振動が大きい原因と対策|エンジン振動抑えるには添加剤?
アクセル開度センサー(アクセルポジションセンサー)
アクセルの踏み込み量を計測しているのが、
アクセル開度センサー(アクセルポジションセンサー)です。
最近の車だと、アクセルの踏み込み量だけではなく、
エンジンの回転数、ギア変速などとも関係をしていて、
これらのいずれかに異常が見られた場合、
アクセル開度センサーが感知してエンジン警告灯が点灯します。
バッテリーセンサー
バッテリー上がりから復帰した直後に、
エンジン警告灯が点灯することがあります。
もしくは、バッテリー交換を行った後、
バッテリー端子がしっかり繋がっていない場合も、
バッテリーセンサーが感知して、
エンジン警告灯が点灯します。
いずれにしても、バッテリーとの接続に問題が起きていて、
バッテリーの電力不足が起きていると考えられます。
HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)の場合には、
駆動モーターの異常もバッテリーセンサーで感知して、
エンジン警告灯で知らせる仕組みになっています。
関連ページ:車バッテリー電圧低下の症状・対策|バッテリー寿命は何年で判断?
各メーター内のセンサー
インパネには、
- 速度計
- タコメーター
- 燃料計
など様々なメーターがありますが、
これらのメーターに故障が生じた場合もセンサーが感知して、
エンジン警告灯が点灯します。
電気系統系センサー
現代の車はガソリンだけで走っているわけじゃなく、
電力も欠かすことができません。
車の内部では電気配線が網の目のように広がっていますが、
特に車の挙動を大きく左右する電気系統のシステムに異常が発生た場合、
センサーが感知してエンジン警告灯を点灯させています。
エアコンが効かない、もしくは風が冷たくならない、
オーディオの音量が上がらない、動かない
パワーウィンドウが動かない、動きが鈍い
パワステ(ハンドル)が重い
といった症状を伴うこともあります。
電気系統は充電系統、駆動系にも関係していますから、放置してしまうと、
しまいにはエンジンすらかからなくなることもあります。
関連ページ:車のエアコンが効かない原因@冷房・暖房問わず修理代は?
センサー自体の故障
センサーが異常を感知した場合だけじゃなく、
センサーそのものが故障してしまった場合も、
エンジン警告灯が点灯します。
すでに紹介済みですが、
エンジン警告灯が点灯する原因の大半が、
O2センサー自体の故障です。
センサーが故障しているだけなら、
ただちに交換修理する必要性は低いものの、
だからと言って放置するのもいけません。
センサーが故障したままだと、
本当に異常が生じたときに感知することができず、
走行中にエンジン停止することもあり得ます。
オーバーヒート
エンジンがオーバーヒートしている場合、通常であれば、
赤い色のオーバーヒート警告ランプ(水温計)が点灯しますが、
エンジン警告灯が点灯することがあります。
オーバーヒートすることによって、
カム角度・クランク角度がずれたり、
イグニッションの点火タイミングがずれるなどの
影響をもたらすことがあるからです。
オーバーヒートした場合は当然、
エンジンを冷やさなければいけません。
エンジンは冷却水で冷却する仕組みになっていますが、
ホースが破損したりしていて冷却水が漏れていた場合、
十分にエンジンを冷やすことができず、
オーバーヒートすることもあります。
エンジンがオーバーヒートしているということは、
ラジエーター(冷却水)が漏れている可能性もあり、
その場合、ボンネットから白い煙が出ることもあります。
関連ページ:ボンネットから煙が焦げ臭い|エンジンから白煙・焦げ臭い煙の原因は?
排ガス浄化装置の詰まり
ディーゼル車(燃料がガソリンではなく軽油の車)には
排ガスに含まれる有害物質を取り除くフィルタなど、
排ガス浄化装置が設置されています。
フィルタに汚れが詰まりすぎると、
十分にスピードを出せなくなってしまうので、
エンジン警告灯と点灯させて知らせる仕組みになっています。
給油口のキャップ不良
給油口のキャップがキチンと閉まっていなかったり、
キャップが破損していて、
ガソリンタンクを密閉できていなかった場合、
エンジン警告灯と点灯することがあります。
燃料タンク内の圧力は、
一定の圧力に保つように設計されていて、
気化したガスが専用のパイプでエンジンへ送られています。
もし、キャップが劣化・破損していて、
十分に内圧をかけられなくなってしまうと、
エンジンにガスを送ることができなくなり、
最悪の場合、ガソリンは残っているのに
エンジン停止することもあり得ます。
故障原因を特定するには?
エンジン警告灯を点灯させるセンサーにはたくさんの種類がある上に、
センサー自体が故障している可能性もあります。
イグニッションコイルが劣化・故障していた場合は、
エンジン振動が大きくなるといった症状が起きるものの、
オーバーヒートしたときのように、特に症状を感じないこともあります。
いずれにしても、素人がちょっと車の状態を調べた程度では、
エンジン警告灯が点灯した原因を特定するのは難しいものがあります。
ディーラーもしくは自動車修理工場へ車を持ち込んで、
専用機器を接続してエンジン警告灯の点灯原因を
調べてもらわなければいけません。