無収入なら住民税とか所得税なんて、
支払う必要はないんじゃないの?というと、
条件を満たしていれば確かにその通りです。
だからと言って、何の申告もしないのはだめです。
最低でも確定申告はする必要があります。
無収入であっても正式な手続きをしなければ、
単なる住民税の「申告漏れ」もしくは「脱税」とみなされてしまうで注意をしましょう。
目次
住民税(市区町村税、道府県民税)とは?
住民税は1月1日時点で住んでいた
自治体に対して支払う税金です。
厳密に言うと1月1日時点で
住民票のある自治体に対して住民税を支払うことになります。
たとえば1月1日時点では
北海道札幌市に住んでいたけれど、
8月9日に東京都板橋区に引っ越しをした場合、
次年度の住民税の納入先はまだ北海道札幌市となります。
全国的には市町村民税、道府県民税の2つ。
東京23区では特別区民税、都民税となります。
年度の途中で引っ越しをしたとしても、
住民税を納税するのは引越し前の住所の自治体のまま。
たとえば2018年の3月27日に
東京から札幌に引っ越しをした場合、
住民税を支払うのは東京の方なので、2018年度は
札幌市の方へ住民税として特別区民税、都民税を支払います。
年度が変わって1月1日時点で住んでいる住所が確定することで、
引越し先の自治体に住民税を納めることになります。
関連ページ:住民票移さないとどうなる?デメリットは罰金?理由は住民税?
住民税はいわば後払いシステム
所得税は、その年の収入(正確には所得)
に対して課税されます。
2018年に発生した収入(所得)に会税される所得税は、
2018年のうちに徴収されます。
サラリーマンであれば毎月の給料からその月の(その年の)
収入(所得)に対する所得税が天引きで課税されています。
自営業などの場合、翌年の確定申告期間に、
前年度の所得税などを納めます。
ただ、住民税だと、所得税とは仕組みがちょっと違って、
前年度の所得をもとに計算されます。
たとえば平成29年度に支払う住民税は、
平成28年度の所得をもとに計算されるわけです。
サラリーマンであれば所得税と同じく
住民税も給料天引きされていると思いますが、
意味合いが少し異なっているわけです。
その証拠に、毎月の残業代などの増減に合わせて、
所得税の金額も上下しているはずですが、
住民税は毎月一定金額になっているはずです。
ある意味、税金の後払いをするのが、
住民税の独特な特徴になっています。
住民税には均等割りなどがある
所得税は、所得に応じて課税額が決まるのに対し、
住民税には均等割りという仕組みもあります。
均等割りとは、納税義務のある人が、
最低限支払わなければいけない税額のこと。
住民税の税額を計算するときには、
住民税の金額=所得割+均等割
という感じになります。
均等割りの金額は、全国一律となっていて、
市町村民税3000円と道府県民税1000円の
合計4000円となっています。
ただ、平成26年度から平成35年度までは、
復興特別税が追加されていて、
市町村民税も道府県民税もそれぞれ500円ずつアップ。
合計5000円が均等割りの負担金額となります。
均等割り以外にも、
- 利子割
- 配当割
- 株式等譲渡所得割
があるんですが、これらに関しては、
これらのお金は、受け取る際にすでに
住民税が差し引かれているので、
あらためて支払う必要はありません。
たとえば、銀行の預貯金に対してもらえる利息には、
すでに利子割に相当する住民税・所得税が天引きされています。
参考:東京都主税局
無収入でも住民税の申告は義務
無収入の場合、
所得割による住民税はゼロになります。
均等割りによる税負担は発生するものの、
後で説明する減免制度があるので、
無収入でなおかつ条件を満たしていれば、
住民税を払わなくても良くなります。
たとえば離婚した夫から養育費を送ってもらっている以外、
他にパート収入や給与収入などがないという場合には、
無収入扱いとなります。
関連ページ:養育費の確定申告|養育費・慰謝料の確定申告で扶養控除・税金還付?
だからと言って、
無申告で通すのはNGです。
収入がないからと言って何の申告もしなければ、
「所得ゼロ」とみなされるわけじゃなくて、
「申告漏れ」という扱いになるからです。
行政側としては、申告をしてもらわないと、
収入状況がどうなっているのか?把握できないわけです。
無収入で住民税非課税になると、
さまざまなメリットがあるんですが、無申告だと
そういった恩恵を受けることができません。
無収入でもキチンと税務署へ行って確定申告をするか、
自治体の窓口へ行って市民税・県民税申告書を提出しましょう。
無収入でも住民税申告した場合のメリット
住民税非課税となることによって
得られるメリットには、
- 国民健康保険料の減免
- 高額療養費の自己負担額の減額
- 保育料の割引・免除
- 定期健康診断料の割引
- 介護サービス料の割引
- 予防接種料金の割引
といったものがあります。
申告しなかった場合のデメリット
住民税の申告をしなかった場合、
自治体としては「みなしの住民税」を仮計算して、
あなたに請求することになります。
収入もないのに税金だけ持って行かれることになるので、
申告は絶対にすべきです。
他にも考えられるデメリットとしては、
- 児童手当をもらえない
- 国民年金を免除してもらえない
- 介護保険料を減額してもらえない
といったものがあります。
退職後年金暮らしで無収入の場合の住民税
退職後の年金暮らしの場合でも実は年金も所得とみなされます。
関連ページ:老後資金の必要額@独身でも夫婦でも運用が欠かせない?
本来ならば確定申告をして
住民税の支払いを手続きをしなければいけません。
けれども、公的年金の受け取りに関しては、
すでに住民税などが天引きされる
確定申告不要制度という仕組みになっています。
医療費控除を受けられる条件を満たしている場合など、
突発的なケースを除けば、年金暮らしで確定申告をする必要はありません。
参考:国税庁
No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁
住民税の減免制度はあるけど還付はなし
無収入だと住民税の支払いは厳しいものがありますよね。
ただ、住民税に関しては、後払いの仕組みになっている以上、
前年度の所得に対して課税されていますから、還付してもらうという概念がありません。
そこで、自治体によっては
減免制度を用意しているところもあるので、
一度、確認をしてみると良いです。
関連ページ:母子家庭確定申告書き方|シングルマザーのパート確定申告は?
兵庫県芦屋市の住民税減免制度
参考:兵庫県芦屋市
住民税(市民税・県民税)の減免について
合計所得金額が350万円以下で、
無職・無収入の場合などの条件を満たしている場合、
納税通知書を受け取った日から納期限までの間、
減免申請できるようになっています。