35年ローンは何歳まで組める?月々の金利計算シミュレーション

住宅ローンは借入期間が長くなればなるほど、
金利手数料の総額が増えてしまいますが。
毎月の返済額を小さくできます。

以前の住宅ローンの固定金利(フラット35)は、
3%台が当たり前だったものの、
今では、1%を切るほど下がっています。

参考サイト:住宅ローンの金利推移(ARUHIのフラット35)

住宅ローン控除も含めて考えると、
限りなく有利な条件で住宅ローンを組みやすい
状況になっています。

35年ローンのメリット

団体信用保険(団信)がある

ローンの返済期間を35年にした場合
に限った話ではありませんが、
住宅ローンでは団体信用保険がセットです。

契約者に万が一のことがあって、
返済不能に陥った時には、
団体信用保険によって
それ以降の返済が免除されます。

ある意味、団体信用保険は、
住宅ローン専用の生命保険というわけです。

35年の間に何が起きるわからないものの、
少なくとも契約者が亡くなってしまったときに、
住む場所がなくなって路頭に迷う心配はありません。

毎月の返済額を小さくできる

住宅ローンの借入期間が長くなれば、
それに応じて月額の返済も小さくできます。

支払いを先延ばしにすることになるため、
金利手数料が上乗せされることになるものの、
家計に占めるローンの割合を小さくできます。

普段の生活費はもちろん、
進学・病気といったイベントに備えやすくなります。

インフレの恩恵を受けやすい

日本は今、
2%のインフレターゲットを設定
しています。

ただなかなか達成できないので、日銀はとうとう、
2%のインフレターゲットの明言を避けるようになったものの、
いずれにしても、物価(所得)を徐々に上げようとしているわけです。

インフレによって所得が増える一方で、
借金の金額自体は実は変わりません。

※固定金利のように借りた時点ですでに、
返済総額が決まる場合の話です。

極端な話をすれば、インフレの影響で
毎月の給料が30万円から40万円に上がっても、
毎月の借金の金額は一定のまま。

インフレになればなるほど、
家計に締めるローンの割合が下がるので生活が楽になる、
インフレ対策を強化しているうちは、できるだけ早いうちに、
住宅ローンを借りたほうがお得!というわけです。

ただインフレにはデメリットもアリ、それは、
実質的な年金受給額が減ってしまうこと。

インフレによって物価はどんどん上がっていくのに対して、
年金の受給額は基本的に物価上昇率はあまり反映されません。

あまりにも高いインフレ率になってしまうと、生活がドンドン苦しくなるので、
いずれにしても老後の蓄えのことも考えておかなければいけません。

関連ページ:老後資金の必要額@独身でも夫婦でも運用が欠かせない?

35年ローンの金利計算 総額で比較

実際に35年ローンをする場合、
返済総額はいったいどのくらいになるのか?

  • 2000万円
  • 2500万円
  • 3000万円
  • 4000万円

を例に概算額を計算して比較してみましょう。

計算にはフラット35のHPにある
ローンシミュレーションを使います。

ローンシミュレーション

※計算上の注意

・金利は2015年9月時点で
少し高めの2%で計算します。

・これから変動金利がどう動くかはわからないので、
契約時の金利のみ(固定金利)で計算します。

・ボーナス払いは利用しません。
リスクが大きい割にはメリットが小さいからです。

・各種の金利優遇も無視します。

・元金均等払いは初月の返済額のみ表示。
返済が進むにつれて金額は小さくなります。

関連ページ:ボーナス払い期間はいつから?夏のボーナス払い・冬のボーナスまとめ

関連ページ:ボーナス使い道|20代独身女性・男性の夏のボーナス使い道は?

1000万円の場合

・元金均等払い
借入総額:1392万円
毎月返済額:3.4万円

・元利均等払い
借入総額:1351万円
毎月返済額:4.1万円

元金均等払いよりも、元利均等払いのほうが40万円ほど安くなる計算になります。

2000万円

・元金均等払い
借入総額:2702万円
毎月返済額:8.1万円

・元利均等払い
借入総額:2783万円
毎月返済額:6.7万円

元金均等払いよりも、元利均等払いのほうが80万円ほど安くなる計算になります。

2500万円

・元金均等払い
借入総額:3479万円
毎月返済額:8.3万円

・元利均等払い
借入総額:3378万円
毎月返済額:10.2万円

元金均等払いよりも、元利均等払いのほうが100万円ほど安くなる計算になります。

3000万円

・元金均等払い
借入総額:4174万円
毎月返済額:10.0万円

・元利均等払い
借入総額:4053万円
毎月返済額:12.2万円

元金均等払いよりも、元利均等払いのほうが120万円ほど安くなる計算になります。

4000万円

・元金均等払い
借入総額:5566万円
毎月返済額:13.3万円

・元利均等払い
借入総額:5404万円
毎月返済額:16.2万円

元金均等払いよりも、元利均等払いのほうが160万円ほど安くなる計算になります。

元利均等払いと元金均等払いの違い

元利均等払いとは毎月の返済金額を一定にさせ、
利息支払いを優先して返済していく方法になります。

返済開始当初は元本の減り方が少ないため、
金利手数料が大きくなる傾向があります。
元金均等払いは、元本を毎月一定額返済しつつ、
さらに利息を上乗せして返済していきます。

最初のうちは利息部分が大きくなるので、
返済金額が大きくなってしまいます。

その代り、長い目で見ると利息の支払い総額が
元利均等払いに比べて小さくなるうえに、
支払いが進めば進むほど月の返済額も小さくなります。

元金均等払いができない金融機関も多い

金融機関としては、やはり
金利手数料が多くもらえる元金均等払い
にしてもらいたものです。

メガバンク等では元金均等払いと元利均等払いを選べる
ところもあるものの、ネット銀行の場合には、
元金均等払いしか選べないところが目立ちます。

その代りにネット銀行だと
金利が安く設定されている
などのメリットもあります。

ちなみに住信SBIネット銀行の場合、
元利均等払いもできて金利も安めなので、
返済額を1円でも落としたい場合にはお勧めです。

住信SBIネット銀行の住宅ローン

月6万円、7万円、8万円でいくら借りれる?

次に毎月の返済金額が6万円~8万円すると、
いったい、どのくらいまで借り入れできそうか?

先ほどと同じくフラット35の
ローンシミュレーションを使って計算してみました。

月6万円の場合

・元利均等払い
借入総額:1811万円

・元金均等払い
借入総額:1482万円

月7万円の場合

・元利均等払い
借入総額:2113万円

・元金均等払い
借入総額:1729万円

月8万円の場合

・元利均等払い
借入総額:2415万円

・元金均等払い
借入総額:1976万円

手取り25%以内&頭金を用意する

月6万円の返済になると
2000万円弱しか借りれません。

ただし住宅を頭金なしのフルローンで購入
するケースはほとんどありません。

物件価格の20%くらいの頭金を用意
するように言われることが普通です。

頭金を用意することを前提に考えると、

借入可能金額X120%

が購入可能な物件価格の目安になります。

諸費用がかかることも考える

物件購入時には、
たくさんの諸費用が掛かります。

仲介手数料
ローン保証料
団体信用生命保険
不動産取得税
固定資産税
引っ越し費用

などなど
物件価格に比例して費用は高くなります。

物件価格の5%前後は諸費用として必要になる
点は注意しておきましょう

35年ローンでよくある疑問

フラット35の場合、
利用可能な年齢制限は70歳未満となっています。

ただ返済は80歳までとなっているので、
70歳ぎりぎり手前で借りた場合には、
80歳までの10年で完済できるプラン
のみとなります。

35年ローンを組むためには、少なくとも
45歳までにローン契約する必要があります。

賃貸と持家は結局、どっちがお得なの?

賃貸住宅に家賃を払い続けて住むのか?

それとも持ち家を購入して
住宅ローンを払い続けるのか?

どっちが得なのか?と言うのは、
一概に答えを出しにくい永遠のテーマ。
資産価値の高い物件を購入すれば
持家にしたほうが絶対にお得です。

購入した時と同等以上の金額で売却できれば、
住宅ローンの金利負担分以上に損することはありません。

ただ現実的に考えて、
購入時の資産価値が維持できるのは稀なケース。

住宅の購入費用はだいたい、

物件の資産価値+販売会社の利益

となっていますから、
販売会社の利益分は損をするのが当たり前
の世界です。
仮に、資産価値が抜群に良い物件があったとしても、
住みたいと思える地域じゃない可能性もあります。

持家にも賃貸にもそれぞれ一長一短があるので、
一概にどっちが良いとは断定できません。
ネット上では良く、
「賃貸と持ち家のどっちがお得?」
という記事を見かけるもの、十中八九
「どっちとも言い切れない」という結論になっているはずです^^;

固定金利と変動金利はどっちが有利なの?

変動金利の場合、
目先の金利がすごく安くなっていたり、
金融機関によっては変動金利だけに特別金利を設定
していることもあります。

ただその代りに、金利が上昇し始めた時に、
どこまで高くなるのか?は誰にもわかりません。

金利の相場を読み通す力がある自信がなければ、
変動金利はあまりお勧めできません。

リスクを取りたくないのであれば
固定金利の方が良いです。

毎月の返済は家賃よりも安い!の真相

住宅販売会社のセールストークとして、
今の家賃より安い返済額でマイホームが持てる!
みたいなものがありますよね。

見かけ上は確かに安くなっているんですが、
カラクリがあります。

要は3年固定とか5年固定の優遇金利で
計算した返済額を提示しているだけです。

優遇金利の適用期間が終了すると、
通常の金利に戻ってしまい、
支払い額がむしろ増えてしまった、
なんていう結果になりかねません。

住宅販売会社の営業マンに騙されないように
よく注意しましょう。

頭金が多いほうがやっぱり良い?

住宅ローンの申し込みでは、
頭金はほぼ必須のように言われていますが、
35年ローンだとやはり頭金はあったほうが良いです。

頭金が多ければ多いほど、借入金額が減り、
金利手数料の総額を減らせます。

それに同じ家に10年、20年と住み続けていたら、
家のあちこちにガタが来て補修が必要になります。

もしくは家族が増えて子供が大きくなると、
家が手狭になって家を買い替える可能性もあります。

補修(リフォーム)・買い替えの費用を
あらかじめ積み立てておくのが良いわけですが、
頭金が少なかったせいで月の返済額が大きいと、
十分なお金を貯めきれなかったりします。

貯金がないからという理由で
頭金なしの35年ローンを組むよりは、
1万円でも多く頭金を用意したほうが、
老後に突入してからの負担を軽くできます。

まとめ:退職金の繰り上げ返済をあてにしない

フラット35では制度上、
45歳でも35年ローンを組むことができます。

ただ定年を迎えると
ローン返済の原資は基本的に年金のみ。

そこで退職金をあてにして住宅ローンを組み、
繰り上げ返済することもできますが、
これもあまりお勧めできません。

契約者の身に何かあれば、
団体信用保険のおかげで返済の義務がなくなります。

それに老後になってからも、
突然の出費は発生するものです。

退職金で住宅ローンを支払ってしまったら、
そうした出費に対応できなくなるので、
現金は残しておくべきです。
退職金をあてにして住宅ローンを組むのではなく、
きちんと働いて得たお金で返済できる計画を
立てるようにしましょう。